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10月の幼稚園だより


									
 KCKのSports Dayのねらいは、体を動かす喜びを目一杯体験すること。
舞台は、里山を再現した、KCKの園庭です。
初めてご参加される保護者の皆さまからは、「え?真ん中に山が二つもあるけど、どこでやるんですか?」という質問を受けることがあります。
「ここです。園庭全部を使います。お祭りみたいで楽しいですよ」とお返事します。
 
日本でイメージされる運動会は、平坦な園庭に作られたトラックの周り、あるいはその内側で競技をし、その外側から家族が応援するのが一般的なものでしょう。
KCKのSports Dayは、そんな常識に縛られません。
かけっこや親子競技など、直線コースが必要なものは、山の間の長い直線を利用します。
ButterflyさんとCocoonさんが参加するリレーのコースは両方の山を利用したしずく型の2コースで行われます。
そして、ダンスは山の間の短い直線が舞台となります。
 
競技会場が変化するときに、応援のご家族の皆さまにご移動をお願いします。
すると、皆さん足元に気をつけつつ、移動してくださいます。
日本の一般的な運動会のようにゴザやイスに座って観客席から応援している場合ではありません。
「これからはじまる競技のために、みんなで場所をあけよう」「次の出番の子どもたちのご家族が観やすいように最前列を譲ろう」と率先して移動、あるいは譲り合って下さる保護者の皆さまの優しさと温かさが本当に素敵です。
保護者の皆様がおおらかな気持ちで楽しんで下さるからこそ、KCKの子どもたちはSports Dayを思う存分楽しむ事ができるのだと思います。
 
コロナ禍で、開催体制を工夫した年が続きましたが、今年は、全クラス同時開催体制に戻ります。
今回は初めて6クラスの保護者の皆さまを同時にお招きする予定です。
当日、子どもたちと最高に楽しめる一日になるよう、スタッフが一丸となって愛をこめて準備中です。
お天気に恵まれますように。

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11月の幼稚園だより


									
小学一年生で漢字を習った時、「『人』という字は人と人が支え合っている様子を表している」と聞いたのを覚えています。
人は一人では生きていけない、お互いに関わりを持ちながら生きる生命だということです。
人と人が関わりを持つ時、言葉はその基本となるものだと考えます。 
 
KCKに通う子どもたちは、言葉が出る前、言葉が出始める、そして言葉を使いこなすようになる、そんな段階にある、と言えるでしょう。
Caterpillarクラスでは、言葉より行動で気持ちを表現する子も少なくありません。
Cocoon、Butterflyクラスと年齢が上がっていくうちに、英語、または日本語で自分の内面を表現できるようになっていきます。
お返事一つにしても、先生が質問することに、首を縦に振ったり、横に振ったり、傾けたりしているだけの状態から、 “Yes.” “No.” “I don’t know.”などと、言葉で表現できるようになっていきます。
 
先日、Cocoonさんのお友だちとお話していました。
というより、気がついたら、私が一方的に言葉をかけ、そのお友だちは目もあわせず、じっと聞き、うなずいたり、首を左右に振るだけの状態でした。
それもそのはず。
その子が怒られているシーンだったからです。
何を聞いても黙ったまま。
まるでこちらが根を上げるのを待っているかにようにも感じるほどでした。
日本語でも英語でも同じリアクションです。
私は、ふと、「今日は朝ごはん食べてきたの? Did you eat breakfast today?」と聞きました。
こくりとうなずいたその子に、「YesそれともNo?」と聞くと、かすれた声で “Yes”とお返事してくれました。
”Thank you! I’m so glad to hear your voice. What did you eat for breakfast?(ありがとう! 声を聞かせてくれて嬉しいなあ。朝ごはんは何を食べたの?)”と続いて聞きました。
この質問には、ちょっとハードルが高く感じたのか、首を傾げて黙ってしまったので、 “Did you eat bread? Did you eat rice? Did you eat UDON? Did you eat ice cream? Did you eat popcorn?(パン食べたの? ご飯? うどん? アイスクリーム? ポップコーン?)」などと聞いていきました。
一つひとつに明確なお返事がないので、もう一度 “Yes, or No?”と聞いて同じ質問をゆっくりと繰り返します。
アイスクリームやポップコーンあたりになると、声のかすれもとれ、はっきりと “No”というようになっていました。
しばらくそんな調子で本題とは違う話題で問いかけをし、言葉でお返事をしてもらった後、本題に戻ると、言葉少なではありますが、自分がやってしまった過ちを語ってくれました。
私は「あー、そういうことか。ありがとうね。言葉で教えてくれて嬉しいよ。教えてくれてとっても助かった」と身体中をゴシゴシしながら伝えました。
 
同じお友だちが、次の日も私と一対一でお話しする場面がありました。
その日も同じように首の振り方で返事をしようとしましたが、前日より早く、本人が言葉で話そうとつとめはじめました。
そして、その次の日の朝、私は目を疑いました。その子の表情が2、3倍明るいのです。
いつも伏し目がちだったのが、真っ直ぐに私の目を見て、 “Good morning!”と言いながら笑っているのです。
 
言葉を用いて他者と繋がることを覚えると、人はこんなにも喜びを感じ、前向きに生きられるんだ、と教えられた3日間でした。
親子や家族間だと、お互いに察することができてしまうため、指差しや眼差しなど言葉を使わないコミュニケーションで済ませてしまうことも多くあります。
でも、少し丁寧に言葉で関わりを持つように促すると、子どもたちが変わってくるはずです。
日本語でも英語でも「言葉」を使うよう、明るく励まし、そしてたくさん褒めてあげてあげて下さい。
きっと今までとは違う成長を見せてくれるはずです。
 「人」として生きるために必要不可欠な「言葉」を使ったコミュニケーション能力を、ご家庭でも園生活でも大切にし、一緒に育んでいきましょう。

9月の幼稚園だより


									
幼い頃、祖父のあぐらの中にすっぽりとはまり、聞かせてもらった、ある戦争体験の話があります。
祖父は陸軍に入隊し中国に渡り、
「ヘルメット被って、重たいリュック背負って、鉄砲持っていっぱいいっぱい歩いた。
そん頃の戦争は呑気なもんで、昼休みってのがあってな、その時間はにぎりめし喰ったり昼寝をしたりするもんで、敵も味方も鉄砲や大砲を撃つもんじゃないって決まりがあった。
ある日の昼休みに、にぎりめし喰おうと思って、草むらにどっこいしょって腰掛けて、ヘルメットを外した。
けど、何かあったら命が危ないと思って、念のため、ちょこんと、いい加減に頭の前のほうにのせた。
いい加減にな。
で、にぎりめしにガブリとかぶりついたちょうどその時、鉄砲の弾がズドンッ。じいちゃんのこの額に飛んできた。
だから、じいちゃんの額のここん所、凹んでんだぞ」
祖父は、そのくぼみに私の指先をやり、触らせてくれました。
そして、こう付け足すのでした。
「いいか? いい加減って、チャランポランとは違う。ちょうど良い加減っていう意味なんだ。
良い加減に被ったヘルメットは弾の勢いを受けてくれた。
だから頭に弾が直接ズドンって当たらなかった。
お寺の鐘みたいなもんだ。あの時じいちゃんがヘルメットをきちんと被っていたら、弾がヘルメットを突き破ってあの世行きだったかもしれん。
もし、被ってなければ絶対生きてないし、こんなふうにお前の母ちゃんが生まれることも、お前が生まれる事もなかった。
自分の命は自分で守るんだ。良い加減を知るのが大事。良い加減に生きるんだぞ」
大人になった今でも、「いい加減」という言葉を聞くたびに祖父のこの話と、懐かしい温かさを思い出さずにはいられません。
と同時に、「戦争は人間を狂わせるから、絶対にしてはならん」と言っていた祖父の目を思い出します。
 
2023年、夏。
私たちが生活する中で、おにぎりを食べようとする時に、弾が飛んでくる危険はありません。
戦場ではないからです。なんという幸いでしょう。
では、今、戦場ではないこの国は、本当の意味の平和を手に入れたのでしょうか? そもそも平和とは何? 戦争って何? 
このような問いは、人間の生き方、考え方の根本的な部分につながるものです。
8月には広島、長崎の日、そして終戦記念日があり、戦争をテーマとした報道が新聞やテレビで取り上げられます。
ご家庭でも是非子どもたちと話し合ってみてください。
幼い彼らの目線に立って一緒に話す事によって、私たち大人が教えられることも少なくないはずです。
このテーマに大人が背を向けることなく、子どもたちとちょうど「良い加減に」対話することこそ、「平和をつくる人」を育てる第一歩なのではないでしょうか?

8月の幼稚園だより


									
7月13日のCooking Dayでは今月のテーマ国、フィジーのココナッツチキンスープにチャレンジしました。
豆腐や納豆、味噌などと比べると、ココナッツという食材は、日本の食卓にはあまり登場しません。
教室にココナッツの実が運ばれてくると、ほとんどの子が目を丸くしていました。
もしゃもしゃとした球型の物体を見て、「え?!動物?!」と思った子もいたはずです。
けれども、その実を先生たちが素手で軽々と持っている様子を見て、「どうやら、触っても平気らしい」と安心した様子。
自分のところにまわってきたココナッツを持ってみると、そのずっしりとした重さに”Wow! It’s heavy!”と思わず声をあげる子もいました。
どんな匂いかな?と鼻を近づける子や、どんな音がするのかな?とポンポンと叩いてみる子もいました。
先生が、その実の中にジュースや白い実が入っている説明をして、子どもたちの耳元で振ってみせると、チャプチャプと音が聞こえるではありませんか!
ココナッツひとつで、子どもたちの心は南国に行ったかのようでした。
人参や小松菜などを子どもたちがカットしたあと、キッチンでの調理が始まり、しばらくすると、ココナッツスープのエキゾチックな香りが廊下に漂って来ます。
 
ランチの時間。
どの教室からも”It’s yummy!” “I like this!”という声が聞こえてきて、次々とおかわりを求める子の姿がありました。
ココナッツの風味がこれほど子どもたちに喜ばれるのかと、先生たちも驚くほどでした。
 
Cooking Dayではココナッツに限らず、色々な食材をさわり、それを調理する工程の一部を体験します。
自分の命を支える命がある事を肌で感じてもらいたい。
そして、自分が調理に関わった美味しい食事を、お友だちや先生と一緒に味わってもらいたい。
そう思いながら、毎回、Cooking Dayを企画しております。

7月の幼稚園だより


									
ある朝のことです。
カーペットにゴロンと横になったまま、動かない男の子がいました。
“Good morning!”とみんなが挨拶をしても、お名前を呼んでも、眠たいのか、寂しいのか、何も反応がなく、石のように動きません。
”Who can help him unpack?(彼のアンパックを手伝ってくれるお友だちはいるかな?)”と一声かけると、あっという間にたくさんのお友だちが寄ってきました。
”I can help!”と一人の子が水筒をフックにかけてくれたかと思うと、”I can help, too!”と、white hatをそうっと脱がせてフックにかけてくれる子もいます。
ほぼ同時に、”Me, too!”とbackpackを開けて、タオルを探し出してくれる子もいるではありませんか。
驚いた事に、ぴくりとも動かなかった男の子が周りの気配を感じて、自分でひょっこり顔をあげ、「おー、ありがたや!」と言わんばかりの表情で、その様子を見ているのです。
”Can you say ‘Thank you’ to your friends?(みんなに「ありがとう」って言おうか?)”そう促すと、ニコニコ顔で”Thank you!”と伝えることができ、周りのみんなも”You’re welcome!”と、爽やかに返してくれました。
 
また、別のクラスでは、stamp bookを開いて、その日のスタンプをどこに押したら良いのかわからない様子の女の子がいました。
そばにいた男の子に“Can you help her with stamp book?(スタンプブックのお手伝いお願いできるかな?)”と聞くと、”Today is here!(今日はここだよ)”と指で押さえて教えてくれました。
あまりに一瞬だったので、女の子にはわからなかったようです。
女の子が”Where?”と聞き返すと、今度はもう少しゆっくりと”Here.”と指を置き、教えてくれました。
女の子はなるほどとスタンプを押したあと、”Thank you!”とお礼を言っていました。
男の子は”You’re welcome!”と、嬉しそうにお返事していました。
 
自分がhelpを求める時もあれば、helpをする側にまわる時もあり、お互いに支え合うのが、人間です。
KCKでの生活の中で助け合いをたくさん経験し、お互いの素敵なところ、かっこいいところ、優しいところを肌で感じながら、豊かで幸せな人生の礎を築いてもらいたいと願っています。

6月の幼稚園だより


									
KidsCreationのAfterschoolのために階段を上がる子たちに”Hello!”と声をかけると、必ず “Hello!”と返してくれます。
小学生になった彼らを見かける時、ふと数年前のこと思い出します。
Preスクールに通っていた頃、お母様が「この子、全然落ち着きがなくって、ずっと走り回っているんです…」と困り顔で言われていた男の子。
小学2年生になった今では、落ち着いた、ゆったりとした足取りで自分のクラスに向かっていきます。
ランドセルを背負ってお友だちとおしゃべりしながら玄関で上履きをはこうとしている女の子。
彼女がButterflyクラスの頃、玄関で靴を履きかえ教室に入るまで、毎日のようにドラマチックに泣き叫んでいた時期がありました。
「この子はこの先大丈夫なのだろうか、、、」そんなふうに思われる時があったとしても、数年後には、「あの頃はそうだったね」と笑って話せるくらい子ども達は成長してくれるものです。
そう、子どもたちは常に物事を吸収し、大人の目に見えるところも、見えないところも、常に変化し、成長しています。
 
一方、私たち大人が忘れてはいけないのは、私たち自身も、ほんの数十年前は幼い子どもだったという事。
そして、あの頃から一日、また一日と過ごす事によって少しずつ成長し、変化して今の自分となり、そしてこれから先も変化し続けられるという事です。
歳を重ね、少々癖がつき、そこかしこが固くなってきたからといって、成長を諦める必要はありません。
成長する事については、子どもたちほど優れた先生はいません。
現役の子どもたちと共に過ごす濃厚な時間の中で、「人間の可能性」を直に感じながら、常に柔軟に成長していける恵みを味わいたいと思います。

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