HOME > Column > 幼稚園だより > 7月の幼稚園だより

Column

< 6月の幼稚園だより  |  一覧へ戻る

7月の幼稚園だより

 KCKの園庭にあった3つの砂場は、数ヶ月前に大改造を経て、今は大きな長方形の砂場が1つになりました。
このながーい砂場は、子どもたちに大ヒット!
 
  一番端ではお寿司やおにぎりを握っている子がいたり、その隣ではチョコレート色のスープをかき混ぜている子がいたり。
さらに隣ではひたすら深く砂を掘り進めて、まるで落とし穴を製作中かのような女の子もいます。
そしてその隣には、フライパンに砂をめいっぱい盛り付けて、ペタペタと表面を撫でている男の子の姿も。
 
 大人の私が「場所をとっちゃうかな?」と最初は遠慮していましたが、小さな手に引かれるまま、私も砂場に入れてもらいました。
中に入ったからには…と始めたのは、大きな山作り。
道具がなかったので素手で砂をかき集め、どんどん積んでいくと、子どもたちはその様子をじっと見つめていました。
「What are you making?(何作ってるの?)」と聞いてくるので、「I am making a big mountain. Can you help me?(大きなお山だよ。手伝ってくれる?)」とお願いすると、直接砂を触るのが苦手そうだった子たちも、カップやスプーンで砂を寄せてくれました。
 
 みんなで夢中になってでっかい山を作り、ある程度大きくなったら、今度は上から手のひらで円を描くように撫でて山を平らにしていきます。
「Now it looks like a big cake!(さあ、今度は大きなケーキに大変身!)」と言って、落ち葉でデコレーションしたり、小枝をろうそくとして立てたりしていると、子どもたちも手伝ってくれました。
みんなが思い思いにろうそくを立てるので、まるでハリネズミのよう!
すると、自然と「Happy birthday to you」の歌が始まりました。
 
 こんなことを何日か続けているうちに、子どもたちの小さな手も、砂を触ることに少しずつ躊躇しなくなりました。
道具がなくても砂さえあれば楽しいことが始められるのです。
お寿司やおにぎりは握ると崩れやすく、ちょっと難しい。
でも、梅雨時の雨上がりの濡れた砂は、とても形を作りやすいんです。
毎日の自然な遊びの中で、子どもたちは様々な気づきを得て学び、遊びの幅を広げていきます。
 
 みんなでワイワイと遊べる砂場は、まるで園庭にできた露天風呂のよう。
みんなで入って、みんなで遊んで、みんなを笑顔にしてくれています。

カテゴリ:

< 6月の幼稚園だより  |  一覧へ戻る

同じカテゴリの記事

6月の幼稚園だより

 先日、Caterpillarクラスで身長体重測定をしました。
”Take off your indoor shoes, and move onto the scale, please. (上履きを脱いで、はかりに乗ってね)”
と声をかけると、どの子もそうっと体重計に乗ります。
何か特別な事がなされるんだ、と感じるようです。
ところが、体重の数字を表示する文字盤が両足のつま先の下に隠れてしまい、数字が見えないので、両足の位置を少し動かしてほしいと伝えるのに四苦八苦しているうちに、その子の頭が下がって体が「く」の字に折れ曲がってしまいました。
体重計にまっすぐ立っている間に身長のスケールを合わせる仕掛けになっているので、
”Can you stand up straight?(まっすぐ立ってみようか)”
と促します。
けれども、体重計というちょっと変わった物の上に乗っかっているが故に、体がかちこちになってしまい、「まっすぐ」がわからなくなってしまった様子。
そうこうしているうちに、せっかく足の下から現れた数字の表示が(時間が経ちすぎたため)消えてしまって、
“I am sorry, let’s try this one more time, please.(ごめん。もう一回だ)”
なんて事になるのです。
少しでもうまい具合に伝わるように声かけや指差しを工夫しながら一人ひとり進めていきました。
数ヶ月後にはお互いの呼吸も合うようになり、もっとスムーズに進められるようになるはずです。
 
 計り終わった自分の身長のスケールを見て
「ぼく、ここ?こんなにおっきくなったんだ」
とずいぶんと大人びたことを言うお友だちや、自分の身長と体重の数字を嬉しそうに繰り返し何度も言うお友だちもいて、言葉のやりとりが楽しくて仕方ない時間でした。
 
 この身長体重計は数年前の卒園生の保護者の皆様が寄付してくださった物です。
その年に卒園した子どもたちは、さぞかし大きくなっていることでしょう。
卒業生のみんなが、今の園児たちの成長を見守ってくれているようで、計測をするたびに、いつもあたたかい気持ちになります。
これからも、卒業生を思い出しながら、KCKの子どもたちの成長を記録する度に活用させて頂きます。

5月の幼稚園だより

満開だった桜の花が散りはじめると、園庭には桜の花びらが絨毯のように敷き詰められ、その上を子ども達が元気に駆け回ります。
新しいスクールイヤーが始まったことを実感できる、美しい景色です。
子ども達は新しいクラスのColor hatをかぶっているので、どのクラスに進級したのか一目でわかります。
新Caterpillar さんが黄色やオレンジ色の帽子をかぶって歩いていると、前年度の先生が
“Oh, now you are really a Caterpillar kid! Congratulations!(正真正銘のキャタピラーさんだね!おめでとう!)”
とハグをくれる事もあります。
 
 幼稚園のお迎えとほぼ同じ時間には、学童生たちが各小学校からバスで続々と到着します。
3月に卒園したばかりのお友だちの姿もあります。
黄色い帽子を被り、ピカピカのランドセルをカタカタいわせながら歩いているのです。
先月まで幼稚園に背負ってきていたバックパックとは違い、ランドセルがとても大きく見えます。
目が合うと “Hi!”とにっこり笑って手を振ってくれて、慌ただしく学童生コーナーに向かっていきます。
 
今年も子ども達が無事に進級し、新生活をスタートする姿を見ることができたことを、心から喜ばしく思います。
2025年度も、子ども達の成長を保護者の皆様と一緒に感じながら、一日一日を大切に歩んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします!

4月の幼稚園だより

まだ寒さの残る2月のある朝、校舎の近くで、ささやき声のような声が聞こえてきました。
「ホー、、、、、、ホ、、、、、、」「ケッキョ」
お!ウグイスだ!
かすれて、声量もない上にすぐに途切れてしまうので、とても自信のない声にも聞こえますが、何度も何度もトライしています。
姿は見えませんが、紛れもなくウグイスの声。
自然と口角があがり、「がんばれ!」と応援する気持ちになっている自分に気がつきました。
その後、同じ茂みから聞こえるウグイスの声は、日に日に「ホーホケキョ」に近づいていきました。
初めはかすれたような小さな声でしたが、少しずつボリュームと深みを増して、見事な歌声になっていきました。
 
4月。新しい学年の始まりです。
新しいネームバッチ。新しい先生。新しいクラスメイト。新しい教室。そして、新しいルーティーン。
しばらくは、子ども達も保護者の皆さまも、緊張したり、心配する場面もあるかと思います。
「ホー、、、、、、ホ」と鳴き始めたウグイスの声は、小さくとも「わたしは歌うんだ」という意思が感じられました。
 
KCKでの日々の中で、お友達とたくさんの時間を過ごし、先生や友達から繰り返し“I love you.”とハグをもらうことで、子ども達は徐々に不安を忘れ、「大丈夫なんだ!」と安心感を持って自分らしく輝き始めます。
4月からの新しいスクールイヤー。
一人ひとりの子どもたちが、それぞれの素晴らしい歌声をもって生き生きとしたハーモニーを奏ではじめるのを楽しみにしています。
 
Let’s have fun together!

3月の幼稚園だより


									
  “Good morning, my friends! Cameroon is a country with two languages, French and English.  So I will teach you French, now.(みなさーん、おはようございます!カメルーンは英語とフランス語の二つの言語を使う国です。
だからフランス語を教えてあげよう)”とカメルーン出身のMr.Siがホールに集まった6クラス全員に大きな声で語りかけました。
Country Presentation の始まりです。
“ I say ‘Bonjour, Monami!’And you say ‘Bonjour, Mr.Si.’ OK?(僕が「ボンジュール、モナミ」って言ったら、みんなで「ボンジュール、ミスター シー!」って言ってね!OK?)”と、早速始まりました。
その勢いに気持ち良く乗り、声を合わせて皆でフランス語でご挨拶。
  次に教えてくれたのは、カメルーンでは学校に行くと毎朝起立して国歌を歌う、という事。
“So let’s sing together. Stand up, everyone! Stand up straight, like this.(だからみんなで歌おう! さあ、立ってください。そして、こんなふうに真っ直ぐに立とう)
”え? カメルーンの国歌? フランス語? 英語? それとも両方?などと考えているうちに前奏が流れ始め、Mr. Siが直立不動で歌い始めました。
耳を澄ませていると、英語のようです。
全員を代表して一生懸命歌うMr.Siの横顔が一瞬和らぎ、嬉しそうにも見えました。
 
 民族衣装を持ってきたというMr.Siは、カメルーンの正装着の長い羽織りを身につける様子を見せてくれました。
Mr.Siが袖を通した瞬間、美しい刺繍模様が、より一層美しく鮮やかに見えました。
いつものMr.Siから、1人のカメルーン出身の紳士に変身(?)といったところ。
“Cool!(かっこい〜い!)”誰かが叫ぶ声が聞こえました。
素敵な衣装を着たMr.Siは、大きなスクリーンに写しだされる写真を使って国旗、食べ物、ダンス、美しい自然、野生動物、などを紹介してくれました。
 
  KCKのスタッフの出身地はまさに世界中。
肌の色もバックグラウンドもユニークな私たちですが、「子どもたちがより優しく、あたたかく、平和な世界をつくる人になって欲しい」という思いは一つ。
もうすぐもButterflyさんが卒園していきます。
世界中の国から来た先生達と共に日々を過ごし、歌を歌い、たくさん笑い、喜びを分かち合う中で、目には見えないしなやかな芯、多様な価値観や文化を尊重するやわらかな心が培われて来たはずです。

 
  どうかそのしなやかさを大切に、蝶の羽を背中につけて、世界に飛び出していって欲しいと願っています。

2月の幼稚園だより


									
 あるCaterpillarさんは春からずっと園庭のワゴンがお気に入り。
毎日のようにそれを引いて歩いています。
そのワゴンを他のお友だちが使っていると、地団駄踏んで大泣きをしていたり、真っ赤な顔をして泣きながら、後を追う彼を見かける事もありました。
そんな時、担任の先生は「You need to use your words. You don’t need to get upset.(言葉を使うんだよ。怒るのではなくてね)Let’s ASK him ‘Share, please!‘. Let’s go and talk together, OK?’(一緒に使おうってお願いしてみなくちゃ。一緒に行って話してみようね。
」と、彼の背中を優しくさすりながら話していました。
 
 冬休み明けのある日、Cocoonさんがそのワゴンを集団で引いていると、ワゴンが大好きな男の子が自分のお友だちと一緒にやってきて、何も言わずに奪ってしまいました。
ワゴンを取られて泣いていた子と一緒に話を聞きにいくと、彼は
Sorry…(ごめんね)”とすぐに謝りました。
泣いていた子はあっけない謝罪の言葉に戸惑っている様子でしたが、 “It’s OK.(いいよ)”と、小声でお返事。
謝罪を受け入れてくれた事に安堵した彼は“Thank you. May I use this?(ありがとう。これ、使ってもいい?)”と聞きました。
けれども、それはなかなか承諾してくれません。
長い沈黙にしびれを切らして“Answer, please(お返事をお願いします)”と言っても黙っています。
三度目に “Answer, please”を言った時、とうとう “OK”と静かなきっぱりとした口調で答えてくれました。
男の子は嬉しそうに “Thank you!”と言い残すと、ゴロゴロといつもの調子で走り出しました。
この一連の会話は、この男の子にとって大きな勇気のいるものでした。ピッタリと身を寄せてくる彼の小さな体から緊張と我慢している様子が伝わってきていました。
でも、彼は泣いたり無理やり奪い返すのではなく、言葉で解決することができたのです。
最後に”Thank you!”と彼が言った瞬間、思わず私は”Good job! You did it!”と両方のお友だちをもみくちゃにして喜びました。
 
 KCKの子どもたちは、言葉を使って心を育てていきます。
子どもたちが言葉を通して心を通わせることで、世界が今よりもっと優しく、平和になるように…。
私たちスタッフは、未来の世界を担う子どもたちの心を育てるという大切な役割を、これからも心を込めて果たしていきたいと思います。

無料体験お問い合わせ